そして日は昇る
なんにもないがある僕の街には何もない。
だけど僕はそれを贅沢なことだと思う。




>>弟子氏
鍋は死なん!何度でも蘇るさ!

実家は水戸から50?ほど上にある茨城の北限の某町なのです。平成の大合併でもその微妙な大きさと財政赤字から市政に移行した近隣の町村からそっぽを向かれたかわいそうな大子。町は過疎と少子化が進む、観光産業が唯一の希望の光という何所にでもある田舎の町です。

水戸は高校+浪人時代の4年を過ごした街なのでその辺の印象で良いなら徒然と書かせて頂きたい。

水戸市。茨城県の県庁所在地。かつては徳川御三家のひとつ水戸徳川家が城を構えていた城下町。とは言え現在では三の丸や本丸、城南といった地名にその片鱗を見る程度である。水戸城跡には煉瓦造りの旧県庁があり、かつての行政庁としての威光を今に伝えている。敷地中には県立図書館も併設され付近の高校生や大学生、市民の憩いの場となっていると同時に駅前にある予備校生が澱み日の当たる場所、彼岸を妬み嫉む最上の場所でもある。カップルで図書館とかマジしねよ。

茨城県北部地域(以下、県北)において最大の人口、とは言え30万人程度だが、を誇る水戸市は行政、経済の中心であると共に県下人気上位高校がひしめく学生の都でもある。その筆頭は我がSF研の偉大なるOBを数多く輩出している県立水戸第一高等学校であろう。地方ではまま見られる公高私低の学歴感を抜きにしても水戸一高は県を代表する名門校である。制服はなく、私服であるという点もオサレ中学生諸君の自立心を拗らせた対権力精神構造や過剰なる自意識の固まりとも言える彼らの憧れを集める一つの要因となっていよう。その他、2学期制や65分授業等と言った授業公立校としては数々の独自の革新的教育カリキュラムが組まれている。内部の詳しい事情に関しては水戸一高OBの方にお聞き頂ければ、と。

水戸一高とその下にある超えられない壁を隔てて更に下に存在するのが中の上レベルの中堅高校群である。ここに位置しているのが所謂4年制高校と言われる我が母校、県立緑岡高等学校である。(無論、現在ではその汚名は返上したかもしれないが)

地元の高校には行きたくない(田舎だから)、かといって水戸一を狙うほどの脳味噌はない、私立は何か嫌だ、と言う訳で水戸にあるこのレベルの高校の人気が高まると言うのはそういった中学生諸君の妥協の結果である。かくゆう私もその安牌を切った一人である、と言うことにさせて下さい。そしてこのレベルの高校は入学前にモチベーションの最大値を取り後はひたすら下降し続けるという何ともアレな体質を抱えている。入ったときと比べて偏差値が10下がるのはざらである。少なくとも私と私の時代はそうだった。それなりに自由な校風で各自の自助努力を重視している建前と放任主義という実情。

とは言え、自分がオタであるというメタ認知をしていない若々しい魂は単に怠惰なる日々を送る訳ではない。彼らは自分の興味のある分野に積極的に没入していくのである。そして周囲にはそれを後押しする環境があった。具体的には国道50号沿いの大型中古書店の品揃えと中古同人販売実績、その店舗の青少年育成に対する余りにもゆるい倫理観、またアニソンの充実したカラオケ店、献血という売血行為によって映画の券が貰えるシステム、アニメイトが進出してくるまで県北地域のオタの聖地であった川又書店等がその代表例である。川又書店は県下最大の参考書蔵書数を誇ると言う表の顔を持つが同時に漫画、オタ物資の最大の供給源でもあった。オタ漫画を隠すなら赤本の間とは先人もよく考えたものである。彼らは自らのオタではないという自尊心を損ねることなく「参考書を見るために」川又に行き、貰った図書券をカレカノやさくら、エヴァやナデシコのアンソロに等価交換する業を重ねるのである。そしてこの構造は、ある意味江戸時代の門前町における遊郭の存在とも通じるものがあると私は思うのだが。

「ヒトはオタクに生まれるのではない。オタクになるのだ。」
そんな言葉を理解できないほどに僕は幼かったのです。
高校に入学して3年もすると僕は立派なキモオタになっていました。―――ある緑岡高校卒業生の手記より

――――そして僕は、この街で浪人という未来を選択した。(ラノベ的な物言い)

以上、個人的な水戸観と言うか過去の自分と対峙する作業を重ねて参った訳ではありますが水戸という町は、僕がそうであったように、地方都市であると言うことを認められない都市なのかな、と思います。少なくとも田舎であることを積極的に肯定しようとはしていないし、肯定は常に自嘲という文脈で行われる。水戸はこんなに都会的!こんなに便利!こんなに楽しい!という文言も茨城というローカルな次元でのみ有用でありそれは自身を認識していない田舎者の背伸びなのである。

と水戸市民からバルバロイ、水郡線の民と誹りを受ける私めの取るに足らない駄文で御座候。

コメント

恵
2006年3月21日16:49

>国道50号沿いの大型中古書店
なにその前橋と水戸を繋ぐ俺の通学ルート。田舎は土地が安いから無駄に敷地面積が広いんだよね。……というか、富士書店?

さわお
さわお
2006年3月21日18:13

郊外を走る国道50号沿いには新県庁も建って何だかんだで賑わっております。その代わり旧市街の商店や飲食業は燦々たる有様。
某大工町はこの10年で一気にコリアンタウン化したとかしないとか。富士書店はありましたね。確かに無駄に広い。
ちなみに俺が利用してたのは「よみがえる」ってお店です。水戸を訪ねる際は是非一度お越しを。
未だにスレイヤーズとかビースト三銃士のポスターが貼ってある精神と時の部屋ですので。あの頃の同人誌が貴方を迎えてくれ筈ですYO。

弟子
弟子
2006年3月21日21:38

おー、ありがとうです。
なんだか水戸市そっちのけで、にじみでるさわおさんの4年間に興味が出てきましたけどw
実際のところ、んー、立川よりは便利っぽいですか?

さわお
さわお
2006年3月21日22:29

役に立たないのが駄文の役目ですので。申し訳ない。
そりゃもう明らかに立川の方が便利だよ。電車の本数あるし書店の数も遊ぶ場所の多さも段違いで立川に軍配。

ここからは駄文ね。ただ日野市側から多摩川を渡って立川の方に行く時の構図(風景、川向こうに見える街の様子)は那珂川を渡って水戸市街に入るときと感覚的に似ている気がする。
閉塞感という点においては絶対的に水戸>立川。多分に主観が入ってるけどね。つまりラノベ時空、セカイ系世界は僕の生体感覚的には水戸という都市に近似するものなのですという駄文。

弟子
弟子
2006年3月21日23:03

なるほどなるほどです。すこしさびしい、もとい、どこのベッドタウン、じゃない、住むには落ち着いた感じでいいところなんじゃないですかね。あんまりボロがでないうちに、ありがとうございましたとシメ

沖縄旅行、楽しんできてください。
モーニングコールはaero氏あたりに頼んで「そろそろおきなわ」をw

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